インドに彗星のごとく出現した企業が、巨人・サムスン電子を悩ませている。スマートフォンブランドのマイクロマックス・インフォマティクスだ。IDCの調査によると、2014年4~6月期の市場シェアは、サムスンの28.8%に続く17.8%。その差は11ポイントとまだ大きいが、マイクロマックスが2008年に携帯電話市場に進出したことを考えれば、飛躍的成長がうかがえるだろう。進出当時に市場の上位を占めていたノキアやLGエレクトロニクス、ソニー・エリクソンを蹴散らして、巨人の背後にぴったりとつけるまでに成長したのだ。この勢いが続けば、今後2~3年のうちにサムスンを抜き国内首位に立つと見られている。
マイクロマックスは、ハリヤーナー州グルガオンに本社を置くベンチャー企業である。2000年の創業当時はソフトウエア開発を主業としていたが、現在はスマホやフィーチャーフォン型の携帯電話、タブレットPC、3Gデータカード、液晶テレビを手掛けている。基本的には自社で製品製造をせず企画と販売に特化する「ファブレスモデル」だが、2014年4月からは、ウッタラーカンド州にある自社工場においてスマホとタブレットの製造を開始している。
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マイクロマックスが全精力を注いだのは、インド市場における「正しい価値」を「正しい価格」で届けるということである。インドのスマホ消費者は大きく分けて農村部、都市部の若者、上流階級の3カテゴリーに分類できる。このうちマイクロマックスが注目したのは、農村部のユーザー。このカテゴリーは将来的に他より大きなパイとなり得るポテンシャルがあるからだ。
そのうえで、ヒアリング調査を重ねてユーザーのニーズを探った。その結果判明したのは、ほとんどの大手メーカーは海外で最も売れている自社モデルをインド市場に投入しているに過ぎず、インドのニーズには応えていないということであった。
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